再開に向けて

 

2020年5月31日

前提

稽古で利用している杉並区の体育施設の運営は、指定管理者制度で各施設ごとに企業などが行っています。上井草スポーツセンターでは東京アスレティッククラブ、大宮前体育館ではコナミスポーツクラブ、荻窪体育館は杉並区スポーツ振興財団が運営しています

 

 

経緯

3月9日からコロナウィルス感染防止のため杉並区は体育施設を閉鎖しました。6月1日から再開となりましたが具体的な運営について担当のスポーツ振興課は基準などを十分に示さずに指定管理者へ任せました

 

このため各施設バラバラの規定での運営再開となりました。緊急事態宣言解除が5月14日に解除された地域でも公共体育施設を6月1日時点で再開していないところもありますが、5月25日に解除だった都内の中で杉並区は最も早い再開のようです

 

5月27日20時30分更新としてさざんかねっとの「お知らせ」で再開を告知した様子からも窺えますが、区は再開後の運営について解除後に2日検討しただけのようで拙速と言えそうです。5月28日に荻窪体育館 館長に電話したとき、スポーツ振興課は再開後の運営を指定管理者に丸投げしていることを認め、「それでは大変失礼だが(スポーツ振興課は)無能だ」と言うと「私もそう思います」と言いました

 

 

施設環境の問題点

このような状況でスポーツ庁の社会体育施設の再開に向けた感染拡大予防ガイドライン と照らしても衛生面で消毒と換気が不十分です

 

 

① 消毒

スポーツ庁のガイドラインで

「手が触れる可能性がある体育館の床などは、感染拡大防止の観点から維持管理を徹底すること」

とありますが、

上井草スポーツセンター、大宮前体育館、荻窪体育館ともに武道場の畳や小体育室の床を消毒する予定はありません。後述するように利用人数の制限で全日本柔道連盟に相談したため、この状況も意見を伺いましたが適切ではないとのご意見でした。私も含めて多くの方も同意見かと思います

 

 

② 換気

スポーツ庁のガイドラインで

「十分な換気を行う必要があり、具体的には換気設備を適切に運転することや定期的に窓を開け外気を取り入れる等の換気を行うことが必要です」

とありますが、

 

上井草スポーツセンター 小体育室は、道路側の窓の他にも以前は開放しなかった入口や道路側上方の排煙口も要望があれば検討するとのことです

 

大宮前体育館 武道場は窓がはなく、エアコンの送風でしか換気できません。扇風機のリレーで換気をできないか相談中です

 

荻窪体育館 武道場は以前通り道路側下方の小窓のみの開放で、道路側上方の排煙口は開け締めすると壊れるから、畳面奥の非常口の扉は隣マンションの住民から汗臭いと苦情があるから開放しないそうです。これも全日本柔道連盟に意見を伺いましたが十分ではないとのご意見でした。私も含めて多くの方も同意見かと思います

 

 

利用人数

密集をさけるために利用人数の制限を各指定管理者ごとに定めました

 

上井草スポーツセンター 小体育半面(約160㎡)では、できるだけ2m間隔を保てるように目測で16人

大宮前体育館 武道場(約 152㎡ )では、2m間隔に1mを加えて1人あたり3m×3mと必要として16人

荻窪体育館 武道場半面(約146㎡として)では、全日本柔道連盟のガイドラインに1人あたり8㎡を参考に、それでも不安で2倍してみて1人あたり16㎡として9人

 

全日本柔道連盟 理事に確認しましたが、 このガイドラインは国際柔道連盟のガイドラインをベースにしているため欧米の大柄な人も含めたあくまでも目安で、子どもなら体格に合わせて柔軟に対応すべきとのことでした。ちなみに都の東京武道館では1人あたり10.4㎡としています。また状況に応じて随時見直されるべきですが、 いずれの施設で未計画です

 

 

当道場の取り決め

このような問題がありますが、6月から以下のやり方で稽古は再開します。このやり方は状況に応じて変更、緩和します。このため早ければ毎回変更することもあります

  

① 稽古

利用人数の制限があるため、必要に応じて稽古時間を分割短縮します

他人と接触しない稽古から再開し、ミットや組手などはすぐに再開しません

 

上井草スポーツセンターでは、他人と2mの距離を保ってフットサルなどでも接触プレーはせずに利用してほしいとのことです

大宮前体育館には未確認です

荻窪体育館では、利用人数を守ればフットサルなどで接触プレーしても関知しないとのことです

 

 

② 手洗い

再開にあたって手洗いが最大の肝になると考えています。各自で 石鹸を持参して、稽古前、稽古後に消毒ではなく手洗いしてください。手洗いのほうが広範囲に十分行いやすいと考えます。どうしても消毒を希望される方は、必ず事前に相談してください

 

上井草スポーツセンターでは長期間、荻窪体育館では度々、洗面台の石鹸が補充されてないことがありました。再開後は常に備え付けるとは考えにくいです。感染予防も自衛が最も重要と考えます。また共有で集団感染が起きるとも限りらないため石鹸の貸し借りは認めず、持参していなければ稽古の参加をお断りします

 

手洗いは必ず厚労省の正しい手の洗い方に準じて30秒間行ってください。ご家庭で十分に手洗いできるか確認して、不十分なら必ず指導してください。お子さんひとりで十分に手洗いができていないとこちらで判断したときは、できるまで稽古の参加をお断りします。鼻水を垂らしてギャン泣きしても許しません

 

 

③ マスク

エチケットとして他人を不安がらせないためにも稽古中以外は着用ください。着用せずに来たら稽古の参加をお断りします。新選組の局注法度のように厳守してください

 

稽古中も任意で着用してかまいませんが、熱中症の心配があります。エアコンは荻窪体育館、大宮前体育館では、未確認ですが以前のように十分な対応をしてもらえそうです

 

上井草スポーツセンターでは、区からの委託費に光熱費が含まれているため省エネを理由にして以前からエアコンを弱めています。昨年あたりから幾分改善されてギリギリの状況ですが、スタッフがいる受付だけ夏場は扇風機、冬場はヒーターを使うほどの設定温度です。5年前には熱中症になりかけた子もいて、4年前に区の環境課も危うさを認めたこともありました。状況をみてまた交渉します

 

 

④ 服装

道着を使いません。Tシャツなど動きやすい服装で来て、そのまま稽古して、そのまま帰ってください。なお以前からお願いしているように、道着での行き来は絶対にしないでください

 

中学生以下は更衣室に入室することを禁じます。更衣室は上井草スポーツセンター、大宮前体育館、荻窪体育館ともに土足、室内履きは禁止ですが、利用者がまったく守らず、どの施設も放置しているので野放図です。上井草スポーツセンターや荻窪体育館では、監視で来たスタッフが度々守っていなかったくらいです。ちなみに大宮前体育館では武道場に室内履きのままスタッフが入ってきたことが数度ありました。

 

また履いていないくてもシューズを更衣室の床やベンチに置く利用者もかなり多くいます。このためいつも床がジャリジャリしてますが、どの施設も更衣室の床を感染予防のために消毒する予定はありません。また更衣室にも利用人数の制限があり、待ち時間が生じる見込みです

 

 

⑤ 所持品

石鹸を含めて各自の衣服のポケットに入るものだけです。例外として飲料用の使い捨てペットボトルだけ認めます。ペットボトルの置き場所は指示に従ってください

 

 

⑥ 検温

利用者全員の体温の報告を区から求められています。検温してから来てください

ただし大宮前体育館では、保護者も含めて入館者全員に非接触型 体温計で検温します  

荻窪体育館では、体温計を持っていないなどで検温できない方は非接触型 体温計で検温します 

上井草スポーツセンターでの検温は検討中です

  

   

判断理由

空手は常に優先できません。学校や仕事、家庭などの都合で稽古できないことが多々あります。だから稽古はできるときにやっておいたほうがいい、と以前から考えています

 

コロナウィルスについてよく分からないことがまだまだ多く、誰も確かなことが言い切れません。2019年に掲載した当HPの感染症についてにあるように、1年前に荻窪保健センターや書籍で確認したときは「感染予防には、全般的に手洗いが重要」「感染防止に一番大きな役割を果たすのが手洗い」とのことでした

 

また消毒についてもスプレーした直後に拭いている様子をニュースなどで散見しますが、1年前に製造元のP&Gやエーザイに「スプレー後に拭かずに乾燥させないと効果が半減する」「スプレー後に30分乾燥で90%の効果がでる」と確認しています。保健センターにも「消毒後に拭かずに乾燥させないと効果が半減する」「スプレー噴霧では除菌効果が低く、ジェルなら効果が高い」「手は爪の中までジェルで消毒する必要がある」と確認しています。コロナウィルスにも同じか保健センターなどに再確認したいところですが、忙殺のところ憚れるので未確認です

 

それでもこれらがコロナウィルスにもある程度は当てはまるなら、巷の消毒方法がが十分か疑問です。また出勤時の電車で密集してても集団感染の報告ないなど不思議でたまりません。スポーツ庁のガイドラインや巷の現状などと照らすと、各施設に再開後の運営には大きく隔たりがあります。しかし環境も大事ですが、感染予防に最も重要なのは自衛ではと考えています。記憶に間違えなければ、1年前に確認した書籍の中にもその記述があった気がします。十分な手洗いで自衛すれば、この施設環境でもまったく稽古できないほどではないと判断しました

 

  

責任

2003年にはじまった体育施設での指定管理者制度を10年以上たっても未だに杉並区は十分な検証をしていないようですが、責任逃れにはとても適しているようです。過去の様々な事例から考えても再開後に問題が起きても区は責任を逃れ、指定管理者も責任を負いきれないと予想します。しかし稽古の再開に非があれば、当然できうる最大限で当道場は引責します

 

 

深謝

なじみがないにも関わらず、全日本柔道連盟や新宿区スポーツ課の方に丁寧にとても有益な助言をたくさんいただきました。全日本柔道連盟の方には「がんばりましょう!」と温かいお言葉までいただき、とても嬉しかったです。あらためて感謝申し上げます。大変ありがとうございました